商業登記とは「商業・法人登記の制度とは、会社等に関する取引上重要な一定の事項(商号・名称、所在地、代表者の氏名等)を、法務局の職員(登記官)が専門的な見地から審査した上でコンピュータに記録し、その記録を一般の方に公開することによって、会社等の信用維持を図るとともに、取引の相手方が安心して取引できるようにすることを目的とするもの」です(法務省のウェブサイトより引用)。
登記をしなければならない企業側からすると、変更の度に登記し直さなければならなくなり、煩わしいと感じることもあるかと思います。

しかし、企業に関する一定の情報を公示することで取引の安全を図るために重要なものであるからこそ、登記事項に変更が生じた場合には、その変更登記が義務付けられているのです。
そして、変更が生じた日から一定期間内に変更登記をしなければ代表者に対して過料が科されることになります。

企業側にとっては面倒な登記義務の面ばかりがばかりが目立ちますが、適正な商業登記は取引相手等に対する信頼性を向上させることにも役立つ側面があるのも事実です。
新規の取引相手がどのような企業であるかは、きちんとした調査会社に依頼するならともかく、一見してはなかなか探りにくい面があります。
しかし商業登記を見ると、ある程度の情報はつかめます。
企業の信用調査会社でも「特に設立してから今日までの過去の情報が詰まっているため、商号変更、増・減資、役員変更、支店廃止などの変化をみることができる。特にパクリ屋(取り込み詐欺)については商号変更や本店所在地を変更するケースが多く、新規取引でのリスクヘッジには重要なツールとなってくる」とされています。

このことは、御社の取引の相手方が、御社について知りたいと思った時にも当てはまるのです。
御社と新規に取引したいと思ったとき、御社に融資しようとしたとき、様々な場面で御社の商業登記が閲覧されます。
この時に、何年も変更がされていない登記と、取締役の法定任期通りに変更登記がなされ、監査も含めた機関構成もしっかりしている登記と、どちらが信頼性の高い企業と判断されるかは、多言を要しません。
後者の会社はきっとコンプライアンスを重視する企業だと判断されることしょう。

あまり面倒ばかりだと思われずに、適正な登記を心がけてみませんか。