「ついに会社設立の目的を達成した」
「業績不振で事業をたたむしかない」
「後継者がいないので、自分の代で事業をやめよう」

会社の中には、そもそも存続期間を定めていたり、ある種の目的達成のためだけに設立されていたりするものがあります。
それらの会社は存続期間の満了や目的達成を理由に解散することになります。
また、事業内容が芳しくなくて破産した場合はもとより、破産する以前に事業をたたもうという場合もあります。
その際に行わなければならいのが解散及び清算の商業登記です。

1.解散の商業登記について

株式会社が解散する解散事由は会社法に定められており、例えば次のようなものがあります。
①定款で会社の存続期間を定めたときはその満了のとき
②定款で会社の解散事由を定めたときはその解散事由の発生のとき(上記の会社の目的を達成した場合などです)
③株主総会の特別決議で解散を決定したとき(後継者不足で解散する場合はこれによる場合が多いです)
④破産手続きが開始したとき
⑤他社と合併して消滅したとき・・・等

ここで注意すべきは、株式会社は解散しても直ちに消滅するわけではなく、清算の目的の範囲内で存続するものとみなされるということです。
これは次に説明する「法人市民税の均等割」に関連します。

2.解散した株式会社と法人市民税の均等割

株式会社が休眠状態になった場合に税務署に休業届(異動届出書に休業する旨を記載したもの)を提出すればよいと考えておられるケースによく接します。
しかし、会社が存続している以上は法人市民税の均等割りが課される場合があります。
例えば大阪市の場合、法人市民税の納税義務者は「区内に事務所または事業所を有する法人」とされており、法人市民税の「均等割は、事務所、事業所または寮等の所在する区ごとに」、「(区内に事務所、事業所または寮等を有していた月数/12)×税率」の計算式による税額が課されることになります。(大阪市HPより引用)
また、上記みなし規定により会社は存続していることになるので、売り上げはなくとも毎年税務申告が必要となり、役員の任期満了等登記事項に変更が生じた際に変更登記をしなければ過料の対象となります。
そこで、清算登記が必要となるのです。

3.清算の商業登記について

会社の解散後、次に清算手続きが必要となります。
上記の解散事由④破産の場合と⑤合併の場合では清算手続きは不要ですが、その他の場合では必要となります。
清算手続きでは、現在の業務を終了させ、未回収の債権を取り立て、逆に残債務を弁済します。
この過程で清算人は債権者に一定の期間内(最低でも2か月)に再建を申し出るように官報で公告を行い、また債権者ごとに催告をしなければなりません。
全ての債権回収と弁済が終了した後で、残った財産(残余財産)を分配し、株主総会へ清算の報告をなして承認を受けます。
その後、清算決了の登記を行うことで、株式会社が消滅するのです。
ここでも、日程の管理が重要となります。
円滑な解散・清算のためには事前の準備をしっかりと行うことが必要です。