「事業拡大のために資金調達を行う必要がある」
「欠損が膨らんできているから、どうにかしたい」

資金調達のためには銀行等の金融機関より借り入れること(間接金融)が簡便です。
しかし、もちろんそれなりのコストがかかります。
そこで、株式や社債を発行すること(直接金融)により、必要な資金を調達することが行われます。
間接金融より直接金融の方が、低コストで、長期の資金調達が可能になる場合が多いからです。

1.株式に関する商業登記

(1)株式数の増加について

(a)株式の発行による場合

資金調達のためには株式の発行を行います。
大多数の会社は、株式の譲渡制限を設けているので、ここでは譲渡制限会社が既存の株主に対して株式発行を行う場合の手続きの概要をご紹介します。

STEP1
まず、株主総会決議により発行する株式の数や価格を決定します。
STEP2
そしてその決定した内容を株式の割り当てを受けようとする株主に通知します。
STEP3
通知を受けた株主が、株式の代金を払込期日に支払った場合は、株式発行の効力が生じます。
STEP4
そこで、発行の効力発生日より2週間以内に増加した株式数の変更登記を行います。

(b)株式の分割による場合

会社が成長して1株当たりの株価が上昇し、事業承継や新規発行に支障を生じる場合には、株式数を増加し、1株当たりの価格を下げるということが行われます。
その際に利用される手続きが、株式の分割です。
株式の分割は、取締役の過半数の決定(取締役会設置会社では取締役会決議)で行うことができるので、迅速に行うことができます。

(2)株式数の減少について

1株当たりの価格を上げたいという場合に取られる手続きが株式の併合です。
この株式の併合は少数派株主の締め出しにも利用されることから、手続きは厳格になり、株主総会決議により決定する必要があります。
また、自己株式を消却することで、株式数を減少させることも出来ます。
いずれにしても、減少の効力発生日より2週間以内に変更登記を行う必要があります。

2.資本金に関する商業登記

(1)資本金の増加について

上記の様に新株を発行する場合の他、準備金や剰余金を資本金に振り替えることでも資本金を増加させることができます。

(2)資本金の減少について

業績が悪化して欠損が生じている場合には、その欠損填補のため資本金を減少することがあります。
この場合も変更登記が必要となります。
また、債務超過に陥っている場合には資本金の減少だけでは欠損が解消しないため、欠損填補のための資本金減少と新株発行を組み合わせることも行われます。
基本的には資本金の増加より減少の方が手続きは厳しくなります。
これは債権者の保護を図るための手続きが要求されるためですが、欠損填補の場合は簡易化されるなど、例外も多々あります。

手続きに不安があるという場合は、弊所で御社に最良の手続きを検討いたしますので、ぜひご依頼ください。