「代替わりするので代表取締役を後退させたい」
「取締役が多くなってきたので、意思決定をスリム化したい」
「監査体制をしっかりと整えてコンプライアンス重視の姿勢を明確にしたい」

このように、役員を変更したい場合や、新たに監査役や取締役会等の機関を設けるために行うのが、役員変更登記や機関設置登記です。
新たに取締役を就任させたり、解任したりする場合も、単にその増減の変更をすればよいというわけではありません。
定款上、法律上の制限があるからです。
この制限のうち代表的なものをご紹介します。

1.役員変更登記の制限と機関設置登記の関連性

(1)定款上の制限

まず、定款で「取締役は○人とする」という旨の規定があるとします。

(a)就任について
この場合に新たに取締役を就任させようとする場合は、定款で定めた人数制限に反していないかが重要となります。
定款で定めた上限を超えている場合は、定款を変更して上限人数を増やしておく必要があります。

(b)辞任・解任について

上記の様に取締役の人数が固定されている場合に、辞任により欠員が出たとします。
この場合も、辞任による変更登記はできません。
辞任による欠員と同数の新たな取締役を選任するか、定款規定の変更を行わなくてはなりません。

(2)設置機関との関係から生じる制限

(a)就任について

新たに監査役等の取締役以外の役員等を就任させる場合は、まず、当該機関を設置しておかなければなりません。
例えば監査役を新たに設ける場合は、監査役設置会社である旨の登記が必要となり、この登記が無ければ監査役を就任させることが出来ません。

(b)辞任・解任について

辞任や解任により役員の人数を減らす場合にも、設置機関との関係から制限される場合があります。
例えば、取締役会を設置している会社で問題となります。
取締役会設置会社では、法律上取締役が3人以上必要とされているため、ある取締役を解任した際に残りの取締役が2人以下となるのであれば、登記申請は通りません。
この場合は、解任された取締役を除いて3人以上の取締役となるように、新たな取締役を選任する必要があります。

2.役員変更登記・機関設置登記の手続き

新たに機関を設置する場合は、株主総会での設置決議が必要となります。
また、役員の選任に関しても通常は株主総会での選任決議があります。
代表取締役の選任に関しては、取締役会設置会社であるか否かにより選任方法が異なり、また定款の規定によっても異なることがあります。

このように、役員の変更一つとっても、その他の登記内容、定款規定、法律上の制限等があります。
変更登記を行う場合は、まず、いかなる制限が存在するのかを理解しなければなりません。
そこで、ご依頼の際には御社の定款と、現状の登記を把握する必要があります。
定款をなくされている場合も、最善の方策を提示致しますので、ぜひ弊所へご相談ください。