「更なる規模拡大を求めてA社と合併しよう」
「他社を吸収するつもりはないが、あの事業部門だけは欲しい」
「他の企業との統合は決めたけど、合併ではなく子会社にしよう」
既存の会社が、他の会社と結合を図ったり、一部門を切り離したり、また新たな会社を設立しても近く会社に移行したりするために行われるのが、組織再編です。
組織再編にはさまざまな形態がありますが、ここでは、代表的な3つの形態についてご紹介します。
1.吸収合併の商業登記
組織再編行為として多く行われているのが、吸収合併です。
A社とB社が既に存在しているとします。
ここでA社が、B社を取得した際に、B社をA社内の一部として取り込むというように、2社以上の会社が結合して1つの会社となる事です。
この吸収合併の基本的な流れとしては次のようになります。
STEP1
両会社で合併契約を締結します。
STEP2
各会社の情報を事前に開示します。
STEP3
各会社の株主総会で、合併契約を承認します。
STEP4
合併の効力発生日までに債権者に異議が無いかを述べる機会を与えたり、合併に反対する株主の株式を買い取る手続きを行います。
STEP5
合併の効力発生日後、合併の商業登記を行います、事後の情報を開示します。
2.吸収分割の商業登記
これもA社とB社が存在しているとします。
上記の吸収合併ではA社はB社全体を吸収しましたが、そうではなくて、B社の1つの事業部門だけが欲しいという場合があります。
この時に利用されるのが、吸収分割です。
ある会社が、その事業に関して有する権利義務の全部または一部を他の会社に承継させることを会社分割といい、これを既に存在する会社間で行う場合を吸収分割といいます。
吸収分割に必要な手続きの流れも大体、吸収合併と同じになります。
最初に両者で取り交わす契約が吸収分割契約となるだけで、後は上記の吸収合併の記載を参考にしてください。
3.株式交換の商業登記
株式交換は、ある会社が、その発行済みの株式を他の会社に取得させることをいいます。
つまり、A社とB社がある場合に、B社をA社の完全子会社にする手続きです。
この株式交換は他の会社を子会社にする際に利用されるほか、ある会社を買収しようとする場合に全株式の取得が困難な場合も利用されます。
他社の株式の3分の2以上の議決権を集めることができれば株式交換を行うことはできるからです。
この手続きの流れも吸収合併に類似しますが、大きな違いは、債権者の異議を聞く機会を設けなくてもよい点にあります。
株式交換では、子会社となる会社(上記の例でいうとB社)はそのままの形で存続するため、B社の債権者はそのままB社の債権者であることに変わりはないからです。
4.債権者異議手続きとスケジュール管理の重要性について
以上の組織再編行為では、既存の会社の債権者の意見も聞く必要があることがあります。
そのため、合併等の効力発生日までに、一定の期間内(最低でも1か月)に異議を述べるように官報での公告をしたり、債権者に格別の催告をしたりしなければなりません。
そこで、組織再編行為を行う際には、スケジュール管理が重要となります。
組織再編に関しては様々な日数制限があるので、短期間にそれらをこなしてしまおうとする場合は、十分に注意する必要があります。